ギバー・マッチャー・テイカー
見返りを求めたら、ギバーではない?
感謝や協力を望む気持ちだけで、自分をテイカーと決める必要はありません。何を望んでいるのかを整理し、お互いの意思や負担を尊重しながら相談することが大切です。
こんにちは。広島のクライム結婚相談所の倉益(くらます)です。
「ギバーは、見返りを求めずに与える人。それなら、感謝してほしいと思う私はギバーではないの?」
「いつも私がお店を探している。相手にも動いてほしいと思うのは、損得で考えすぎ?」
ギバー・マッチャー・テイカーの記事を読んで、自分の気持ちを振り返るうちに、こんな疑問が浮かぶこともあるかもしれません。
相手に喜んでほしくて動いたのに、いつの間にか疲れや不満がたまっている。そのときは、自分を責める前に、「何を受け取れたらうれしいのか」を確かめてみましょう。
見返りを望むだけで、テイカーとは決められません
まず、ギバー・マッチャー・テイカーの考え方を、簡単に整理しておきましょう。
組織心理学者アダム・グラント氏の著書『Give and Take』では、人とのやり取りにおける姿勢として、次のような違いが紹介されています。
- ギバー:相手のために何ができるか、貢献することを重視する。
- マッチャー:与えることと受け取ることの、釣り合いを重視する。
- テイカー:自分が何を得られるか、自分の利益を優先する。
同じ人でも、相手や場面によって関わり方は変わります。「お返しがほしい」と思った一場面だけで、その人全体を分類できるものではありません。
考え方の参考:ウォートン校によるアダム・グラント氏へのインタビュー(英語)。ここからの会話例と整理の手順は、婚活の場面に当相談所の視点で応用したものです。
「いつも受け取るばかりでは申し訳ない」「お互いに負担したい」という気持ちは、マッチャーの公平さを大切にする視点とも重なります。
大切なのは、自分が望んでいることと、その伝え方です。感謝を望むこと、役割を相談すること、相手を思いどおりに動かそうとすることは、それぞれ分けて考えたいですね。
「私ばかり」の中身は、三つに分けてみる
同じ「見返りがほしい」でも、何を望んでいるかによって、相談したいことは変わります。
① 気遣いに気づいてほしい
「予約してくれてありがとう」「遠くまで来てくれてうれしい」。そんな一言があるとうれしい、という気持ちです。
この場合は、してあげたことと同じ金額や手間を返してほしいというより、気遣いが伝わっていると感じたいのかもしれません。
② 実際の負担を分けてほしい
お店探し、日程調整、予約、移動。いつも同じ人が担当していると、負担になることがあります。
こちらが望んでいるのが分担なら、「ありがとう」という言葉だけでは疲れが解消しない場合もあります。「次はお店探しをお願いしたい」など、してほしいことを具体的にしてみましょう。
③ 同じくらいの好意を返してほしい
「こんなに尽くしているのだから、もっと好きになってほしい」「そろそろ結婚を決めてほしい」。関係の進展を望んでいる場合です。
その願い自体を責める必要はありません。ただ、与えた量と、相手の恋愛感情や結婚の意思は別に考える必要があります。
さらに尽くして答えを引き出そうとするより、今後の交際をどう考えているかを確かめるほうが、相談する内容は明確になります。
希望を伝えることと、見返りを強いることの違い
希望を相談するときに大切なのは、相手にも、できること・難しいことを伝える余地があるかです。
| 相談する伝え方 | 見直したい伝え方 |
|---|---|
| 「次のお店探しは、お願いできる?難しければ一緒に考えたいな」 | 「いつも私が予約しているんだから、私の希望を全部聞いてよ」 |
| 「移動が負担になってきたので、次は待ち合わせ場所を相談したい」 | 「遠くまで来てあげたんだから、疲れていても最後まで付き合って」 |
言い方だけで相手のタイプを判定するための表ではありません。自分の希望を伝えつつ、相手の事情も聞ける言葉になっているかを振り返る例です。
自分が引き受けたことを、あとから相手を従わせる条件にしていないか。相手に合わせ続ける代わりに、自分の限界を伝えられているか。両方を確かめてみてください。
疲れを感じたときに試したい、4つのステップ
① 何を負担に感じているか、事実を書き出す
「相手は何もしてくれない」とまとめる前に、「最近の予約は自分がしている」「会う日は自分が遠くへ移動している」など、実際に起きていることを整理します。
あわせて、頼まれて引き受けたことなのか、自分から先回りしていたことなのかも振り返ってみましょう。善意でしていたことでも、相手が必要としている助けとは違う場合があります。
② 本当はどうしてほしいか、一つに絞る
感謝の言葉がほしいのか、準備を分担したいのか、会う頻度を変えたいのか。一度の会話では、一つの希望から伝えてみてください。
分担を相談する会話例
「お店を探すのは好きなんだけど、最近は仕事のあとに調べるのが少し大変で。次のデートのお店は、候補を出してもらえるとうれしいな」
③ 相手の事情と、その後の行動を確かめる
相手も忙しい、予約が苦手、こちらが楽しんでいると思っていたなど、まだ共有できていない事情があるかもしれません。
すぐに引き受けられなくても、別の担当を提案するなど、協力する方法はあります。話し合った内容が、その後の行動につながるかも見ていきましょう。
一度でうまく伝わらないこともありますが、負担を伝えても軽く扱われ、同じ状態が続くなら、そのつらさを我慢し続ける必要はありません。
④ 自分が無理なく引き受けられる範囲を決める
相手の反応を待つ間も、自分の睡眠や仕事、生活を削るほど頑張り続ける必要はありません。
できる範囲を伝える会話例
「今週は忙しいので、遠出の準備までは難しそう。近くで食事にするか、来週に予定を合わせるのはどう?」
相手を試すために急に冷たくするのではなく、自分の状況と、できることを伝えて調整してみてください。
自分の「与え方・受け取り方」も振り返る
相手だけを見ると、「自分はギバー、相手はテイカー」という結論を急いでしまうことがあります。自分がどんな関わり方をしているかも、一緒に振り返ってみましょう。
- 与えることを優先しやすいとき:続けられる量か、自分の希望も伝えられているか。頼まれていないことまで背負っていないか。
- 公平さが気になるとき:自分が考える「公平」を共有できているか。金額だけでなく、時間や準備の負担も見ているか。
- 受け取る側になることが多いとき:相手が断れる関係か。自分から引き受けられることを、具体的に提案しているか。
毎回、すべてを同じ量にそろえる必要はありません。忙しい時期には片方が多く担うこともあります。その分担を二人で納得して決められ、必要なときに相談し直せるかが大切です。
仲人として私が大切にしたいのは、どちらも希望を伝えられ、無理が出たときに調整できる関係です。
「自分の伝え方が悪いのかな」と一人で抱えてしまう場合は、担当仲人にも相談してみてください。何が起きていて、何を望んでいるかを整理するところから始められます。
見返りや分担について、よくある質問
Q.「ありがとう」と言ってほしいのは、わがままですか?
気遣いに気づいてほしいと思う気持ちは、相手に伝えてよいものです。「予約したことに一言あるとうれしいな」など、自分の気持ちとして相談してみてください。相手が普段どんな形で感謝を示しているかも、聞いてみるとよいですね。
Q.奢ってもらうことが多いと、テイカーですか?
支払いの回数だけでは決められません。費用の分担への合意、相手の負担への配慮、準備や移動を含めた協力の仕方も関わります。自分の希望だけを通していないか、相手に無理がないかを確認してみましょう。
Q.マッチャーより、ギバーを目指すべきですか?
名前の上でどちらかになることを目標にする必要はありません。公平さを大切にする気持ちも、相手の力になりたい気持ちも、二人の暮らしに役立ちます。自分も相手も大切にできる関わり方を考えてみてください。
「私ばかり」を、具体的な相談へ変えてみよう
見返りを望む気持ちが出てきたら、自分を責める前に、感謝がほしいのか、負担を分けたいのか、好意を確かめたいのかを整理してみましょう。
そのうえで、「次は、これを一緒に考えてほしい」と、一つの希望から伝えてみてください。相手の考えも聞きながら、二人とも続けられる関係を考えていきたいですね。
「私ばかり頑張っている」と感じたら
クライム結婚相談所では、婚活の進め方や、交際中のコミュニケーションについてご相談いただけます。
相手への希望をどう伝えるか、自分はどこまで引き受けたいか。大切にしたい関係と、今の気がかりを一緒に整理してみませんか。


